木屑のめぐるリース

おはなし 土屋ともみ

編集・写真 ファナアーシー



サスティナブルというテーマから生まれた第一号の商品



2021年の1月の終わりの頃、仕上がったばかりの石垣島の伝統漁船サバニのもとで、タマリンド食堂、吉田サバニ造船所、TROPの3店舗が集まりました。

この3店舗でできることは何か。その時に出た答えは、自分達の住む石垣島に対して少しでも良い影響を与えることでありたい、というもの。

話し合いは続きます。石垣島にも、そのまわりの人達にも何か感謝を伝え形にすることはできないのだろうか?

人にも自然にも優しい贈り物を作ろう、サスティナブルな贈り物はどうだろうか?

この日の話し合いでは具体的な形は見えないものの、サスティナブルな石垣島からの贈り物を作る というテーマが決まりました。


今回はTROPの「木屑のめぐるリース」にスポットを当てたお話です。




生まれかわる、木屑の可能性


TROPの丹治桐子さんがサバニ造船所に訪れた時のことです。床一面に落ちているカンナで削り出された木屑とそこに満ちている木の香り。この木屑は普段捨てられてしまっていると聞き、何かに再利用出来ないかと考え始めたそうです。

自宅でこの木屑があるシーンを色々と想像していく中で、お客様とともに作り上げることができ、その作品が自宅で飾れるものであれば、この木屑の新たな利用価値に繋げられると考え至ったと言います。

丹治さんはこれらの条件をみたす商品を普段の花屋として行っているリース作りで活用し、試作し始めました。

丹治さんは島に暮らす人にも、島を訪れた人にも喜んでもらえるような、いつもの生活がちょっとだけ特別になるようにとお客様の目線に立つことを常にしていました。


できるだけ、地元の素材で。地元のために。





毎年クリスマス時期にはリースのワークショップを行っている丹治さん。

今回のリースの土台の材料も、地元の素材を使うことへの丹治さんのこだわりを感じました。「リース用の花材を仕入れることもできますが、石垣島は素材の宝庫です。しかし、中には外来種として島の生態系を脅かす植物も増えてきています。今回はその外来種の1つである、ツルヒヨドリのツルをリースの土台として使いました。」

ツルヒヨドリとは中南米原産のキク科の植物で、地表や木々を這い上がり、日陰を生み出すことで在来種の植物の成長に影響を及ぼしています。

さらにこのリースの完成度を高める要素として、丹治さんは新たな要素を盛りこんでいました。



ケーキのようなトッピング





こうして「木屑のめぐるリース」の本体が完成しました。

円状に形成したツルに、サバニ漁船の木屑があしらわれたリース。丹治さんはここからさらにお客様に楽しんでもらえるようなアイディアを求めていました。

そこにタイミングよく、地元の農家さんがやってきたそうです。市場には出せない野菜や植物を乾燥させて作った素材たちを、何かに使えないかという相談を持ちかけられ、丹治さんはリースに飾りをトッピングするアイディアを得たと言います。

このめぐるリースに、お客様が自分の好きな位置や量で配置してもらい、その方だけのオリジナルリースに仕上げてもらうことにしたのです。


石垣島の自然や、地域の人々、廃棄されるはずだった木屑が繋がり完成したこのリースは、命名された通りの思いがたくさんこもったリースに仕上がりました。